第18回熊本顎変形症研究会
11月23日は熊本顎変形症研究会に参加してきました
今回は5名の先生方の講演を聞くことが出来ました。
面白かったのは福岡歯科大学矯正科教授の玉置先生のご発表で、ChyatGPTを学生教育や研究、臨床に使う有用性と危険性についてのお話でした。この生成AIは、ノーベル賞学者も小学生も同じ検索をすれば同じ答えを導くことが出来る優れものですが、ちゃんと理解しないで使っていると気が付かないうちにとんでもない答えを導いてしまいそうで気を付けなくてはと思った次第です。
しかし、顎変形症については、大学卒業後矯正科の研究室に在籍していた時に経験したことが今でも忘れられません。
ある顎変形症の若い女性の患者さんがおられました。診療室で予約の時間に待っていると気が付かないうちに診療台に座っておられました。いつの間に診療室に入ってこられたのか分からないほど影が薄くて若い女性でありながら入院されているわけでもないのにまるで病人のようないでたちで、化粧気はなく、目線は常に下向き、声も小さく、話しかけてもうつろな返事が少し帰ってくるだけ、存在を消したいという雰囲気がひしひしと伝わってきていました。
それからしばらくして術前矯正は終わり、外科で手術を受けられました。それからまたしばらくたって術後の確認にお見えになった時のことです。以前と同じように予約の時間に診療室で待っていると、ドアが開き、元気な張りのある声で「おはようございます!」と時代のファッションに身を包んだいきいきとした明るい女性が微笑みかけておられました。そうです、この方があの方だったのです。もちろん話も続くようになっており、全く人格が変わってしまったかのようでびっくりしました。まあ、顎変形症による容姿のあり方をどう受け止められるかは人それぞれではありますが、なんだか中顔面、下顔面のアライメントを行い、口元を修正しただけではあったのですが、もしかしたらこの患者さんのパーソナリティーさえも好転させることにつながったんじゃないか、人生を好転させるきっかけを作ることが出来たんじゃないかとものすごくうれしくなったのを覚えています。